子供達に日々教えていると、もう少し世界のことに興味をもって欲しいなぁということがあります。
小説だけでなく、世の中には他にも面白い本があるよと伝えたいのです。
しっかりと本のことを伝える機会がないので、ここに書いていくことにしました。
いずれも自分が読んでみて面白く、人に薦めたいと思っている本ばかりです。
コレをきっかけに手に取っていただけれれば幸いです。
1、河北稔著 「砂糖の世界史」岩波ジュニア新書
@主な内容
この本は、砂糖という「世界商品」にスポットを当てることによって世界史、特に近現代史を俯瞰しようとする本です。
「世界商品」とは、世界中で様々なところで消費される商品のことです。砂糖のほかには、お茶や自動車のように世界中で使われる商品を指します。
砂糖は、現在も世界中の人々に好まれています。
そもそも砂糖の原料となるサトウキビは、熱帯や亜熱帯に適した植物であり、元々ヨーロッパにはありませんでした。
砂糖は、イスラム世界から持ち込まれたものだったのです。
当初高級品としてヨーロッパに持ち込まれました。そしてその後次第に一般的な商品になっていったのです。
砂糖が大量に消費されるには、大量に生産されなければなりません。
この本によると、砂糖の生産は適度な雨量と温度、そして広い土地・多数の労働者が必要とされます。
このような特徴から、砂糖は奴隷制度と深く結びついていくこととなります。
大航海時代にヨーロッパ世界は、サトウキビの栽培に適した新大陸つまり南北アメリカを発見しました。
そして、西アフリカから連れてきた奴隷で、新大陸で砂糖を作ることにしたのです。
前述したように砂糖は、誰からも好まれるものであり、高級品であったためとても儲かりました。
イギリスは、主にカリブ海で砂糖を作っていたようです。
世界史において有名な三角貿易とは、イギリスから綿織物や鉄砲等をアフリカの王国に輸出し、そこで奴隷と交換し、大西洋を経てカリブ海で奴隷を売り、砂糖を獲得します。
そして、その砂糖をイギリスに持ち込むことによって富を得る貿易を言います。
このように砂糖を作ることに特化した植民地が産まれます。
植民地のプランテーション社会をモノカルチャー経済といいます。
単一の商品作物のみを作るので、経済が発展しません。現代における貧困問題の一因がここにあると考えられます。
この本を読んで、砂糖という商品を通じて世界史を学び、また現代における問題も学んで欲しいと考えています。
追記 (現代においてもアフリカ大陸では、カカオの生産において過酷な労働が問題となっているようです。wiki参照
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%AB%E3%82%AA)
Aまとめ
ジュニア新書ということで子供に読んでも分かるように平易に書いてありますが、大人の方が読んでも十分に面白い内容です。
教え子達にも是非読んで欲しいと思っていますが、大人の方にも薦めることができる一冊です。歴史を知ることで、現在の社会をより深く理解することできます。
世界の歴史を学ぶということは、現代における様々な問題がどうやって・なぜ起こったのかを理解する手助けとなります。
より深く世界を知るためにこういう本を読んで欲しいと考えています。
砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書)